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1970年ごろに実施された「マシュマロ実験」をご存じでしょうか?これは、子供たちの自制心と将来の関連性を測ることを目的にした実験です。
内容は、4歳の子供186人を対象に一人ひとりにマシュマロを1つ与え、「私が帰ってくるまでの15分の間、マシュマロを食べるのを我慢したらもう1つあげる」と告げて部屋から出て行く、というものです。この実験から18年後に行なった追跡調査の結果、マシュマロを食べずに我慢した子の方が約10%学業成績が良かった事が判明しました。このことから「自制心がある子供は社会的に成功する可能性が高い」という結論が導き出されたのです。
しかし2018年5月、この結論は否定されることになります。 マシュマロ実験に懐疑的だった研究者たちがさらに大規模(被験者900名以上)な再現実験を行った結果、マシュマロを我慢できるかどうかは「子どもの自制心」よりも「子どもが置かれている社会的・経済的環境」のほうが影響しているということが分かったのです。
再現実験で明らかになったことは次のようなことです。
子供達にマシュマロを我慢させたのは自制心ではなく、今我慢すれば将来より多くの報酬が得られる、という将来に対する信頼感だったということです。この結論だけ見ると、「なんだ、結局どんな家に産まれるかで人生決まるのか……」と残念な気持ちにもなってしまいますが、実験結果をよく見てみるとその後の学業成績の差は10%しかありません。つまり、自分次第で人生はいくらでも好転させることが可能だということも言えるわけです。そのためには、小さな成功体験など何かのキッカケを得て将来への信頼感を取り戻す必要があるでしょう。